サクラノコエ
状況が飲み込めず、怯えながら辺りを見回し理紗を探す。

ここ……俺の部屋?

……夢?

荒くなった息を整えるように大きく呼吸を繰り返しながら、夢と同じように額に滲んだ脂汗を拭う。

昨夜は理紗のことを考えてほとんど眠れなかった。

カーテンの隙間から朝日が射し込んできたのは、なんとなく記憶にある。その後、俺はどうやらウトウトと寝てしまったらしい。

と、部屋のドアがノックされドア越しに俺の名を呼ばれる。

「悠人?」

母さんだ。

きっと俺の声が聞こえて心配してきたに違いない。

「なんでも……ねぇから」

「でも……」

「放っとけって言ったろ!」
< 268 / 454 >

この作品をシェア

pagetop