サクラノコエ
向かった先は、駅前のカラオケボックス。

どう見ても場違いなほど重苦しい空気の俺たち。しかし、ここならば、もしまた理紗に異変があっても人目に触れることはない。

部屋に案内され、店員が去ると、俺はとりあえず呆然と立ち尽くす理紗の肩を抱きソファーへと導いた。

理紗を座らせ、隣に俺も腰を下ろす。

「ここなら、他人を気にしないで話せるからさ」

言いながら、また笑顔を作る。

「……うん」

再び訪れる沈黙。

カラオケの画面から流れる流行りの歌のメロディーが、沈黙が続く俺たちの間で妙に浮いている。

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