サクラノコエ
「悠人くん」

「ん?」

遠慮がちに俺を呼ぶ理紗の声に、俺は振り向きもせず、本体でマイクの調整をしながら返事を返した。

別に本当に歌いたいわけじゃないのに……

モウニゲラレナイヨ

夢で俺の腕を掴んだ理紗の冷酷な瞳が、どうしてもチラつく。

あれは理紗じゃない。

ただの夢。

ただの夢だ。
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