偽りの結婚
誘われるがままにボートに足を踏み出すと、思いの他ボートが揺れ、バランス感覚を保つのが難しい。
それでも、なんとかボートに乗ることが出来、令嬢たちと私だけの状況となる。
プカプカと湖面に浮かぶボートの上―――
「さっきは良く我慢したわね。それとも、ラルフ様の前で良い子でいたいのかしら」
あの時どう言っても聞いてはくれないと直感した自分の考えは正しかった。
どうあっても、ラルフと結婚した私を責めたいのだ。
「そうやって、ラルフ様に媚を売って結婚までこじつけたんでしょう?」
「爵位の低い娘がしそうなことだわ」
彼女たちの相手をしても、倍になって返ってくるだけ…と思いふと視線を外すと、ラルフもグレイク侯爵とボートで湖に出ていた。
グレイク侯爵と話をしながらも、こちらを気にしているラルフ。
「どこ見てるのよ。私達が話しているんだからこっちを向きなさい!」
しかし、声の届かないくらいラルフのボートから離れていた為、彼女たちの罵倒はとどまることはなかった。