偽りの結婚








「やっぱり、まだ少し熱がありますね」


昨日と同様に、まるで自分が痛みを感じているかのように苦しそうな表情をするモニカ。

もしかして、さっきのあの期待に満ちた表情は食事と薬を飲んで熱が下がったことを期待していたのかもしれない。





「今朝は食欲があるから、食事をとって薬を飲むわ」


安心させるようにモニカに微笑む。

本当は食欲などなかったが、これ以上心配をかけるわけにもいかなかった。




「そうですね。では朝食にしましょう。今日の朝食は消化しやすい物をご用意させました」

「ありがとう…モニカ」


それは心からの言葉だった。

王宮に来てから、右も左も分からない中とても不安だったが、いつもそばにはモニカがついていてくれた。

息のつまりそうな日々を過ごしていると、一人になる時間を作ってくれたり、ラルフの外出が多い時は励ましてくれた。

ラルフの外出で落ち込んでいたわけではなかったが、親身になって心配してくれるモニカにはとても感謝していた。



本当に、ありがとう…

モニカの後ろ姿に向かって、心の中で呟く。






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