偽りの結婚



「ラルフ様は今でこそシェイリーン様お一人を大事になさっていますが、昔は同じ女性と長く関係の続くことはありませんでした」


多分ラルフの女癖の悪さは王宮中に広がっているのであろう。




「けれど、唯一ソフィア様とはお付き合いが続いていました。なので、周りの人間はラルフ様が唯一傍に居ることを許した人のように見えていたんです」


ソフィア姫はラルフにとって特別な存在だったのね。

あのラルフがそばにいることを許すなんて特別な感情があったとしか考えられない。



―――ツキンッ


まただわ……

今度ははっきりと痛みを感じる。

胸に手を当て、何かに耐えるように眉を寄せた。




「そんな二人を見て、国王と王妃は二人を婚約させたらしいのですが…ラルフ様の方から婚約を破棄されたので周りは本当に驚いていたんです」

「そう……だったの」


もしかしたらラルフはソフィア姫の事が好きなのかもしれない。

あれだけ多数の女性と関係を持つ人が唯一長く付き合えている女性だもの。

きっとソフィア姫に対して特別な感情があるんだわ。



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