偽りの結婚



「大丈夫よ。だって…私とラルフはもう夫婦でしょう?」


安心させるように微笑みかける。

自分からラルフと結婚をしたという事実を肯定するような発言をしたのは初めてだった。




「ではラルフ様がシェイリーン様を愛していらっしゃるという前提でお話しさせていただきます」


私の言葉を信じたのか、安心したような顔になる。



ごめんなさい、モニカ。

私達の間に愛などないの……

偽りという冷え切った関係に愛などない。

それは二人の関係が始まった時に交わした条件が物語っていた。

しかしそれを知らないモニカはゆっくりと話し始める。




「ラルフ様がソフィア様と婚約を破棄された理由は、正直なところ分かりません。…けれど、お二人がとても親しい間柄だったということは事実です」



親しい間柄……




―――ツキンッ

僅かにはしる胸の痛みに眉を寄せる。



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