偽りの結婚



トクンッ―――

心臓が小さく跳ねて鼓動が速くなる。




「僕の事を想ってくれるなら寝室に戻ってきてくれるね?」


視線を合わせて微笑むラルフに、コクン…と頭を縦に振ることで答えることしかできなかった。





「良い子だ」


やっとのことで承諾に応じた私に、一層笑みを深めて満足そうにするラルフ。

すでに脚は寝室へ向かって歩を進めていた。






―――――キィ……


2日しか経っていないのに寝室に入ると、どこか懐かしい気持ちになった。

同時に見慣れた家具の数々や色彩に安堵する。

やはり先程の部屋にいた日数よりも、数倍長くすごした部屋のだから落ち着くのだろうか。




―――――ギシッ


キングサイズのベッドに下ろされると一人分の重みを受けとったスプリングが軋む。

ラルフは私に布団を掛けた後窓へ向かい、カーテンを閉める。



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