偽りの結婚



―――ドキッ……


こうして触れると、ラルフが男であることを意識してしまう。

広い肩幅に厚い胸板、逞しい腕に囲われる様に固定され、身動き一つできない。



う、動けないわ……

本当は起きているんじゃないの?



狸寝入りではないかと疑ってみるが、依然として目を開ける気配がなく気持ちよく眠っているラルフ。

逃げられないとわかって力を抜いて、諦めの溜め息を吐く。

そして、近距離にあるラルフの顔をまじまじと見つめた。






本当に綺麗な顔ね……


女性も羨むきめ細かな肌に、顔の一つ一つのパーツが絶妙に配置され、まるで人形のように整っている。

ラルフが寝ていることが私の行動を大胆にさせたのか、そのきめ細かな肌に触れてみた。




すごい…さらさらすべすべの肌だわ。




ラルフの頬に触れていると……―――



< 176 / 561 >

この作品をシェア

pagetop