偽りの結婚
―――ドキッ……
こうして触れると、ラルフが男であることを意識してしまう。
広い肩幅に厚い胸板、逞しい腕に囲われる様に固定され、身動き一つできない。
う、動けないわ……
本当は起きているんじゃないの?
狸寝入りではないかと疑ってみるが、依然として目を開ける気配がなく気持ちよく眠っているラルフ。
逃げられないとわかって力を抜いて、諦めの溜め息を吐く。
そして、近距離にあるラルフの顔をまじまじと見つめた。
本当に綺麗な顔ね……
女性も羨むきめ細かな肌に、顔の一つ一つのパーツが絶妙に配置され、まるで人形のように整っている。
ラルフが寝ていることが私の行動を大胆にさせたのか、そのきめ細かな肌に触れてみた。
すごい…さらさらすべすべの肌だわ。
ラルフの頬に触れていると……―――