偽りの結婚
寝起きのラルフは初めて見るわ。
私より遅く寝る癖に、いつも朝が早いものね。
ラルフはまだ眠いのか、一旦覗いた瞳はまた閉じてしまう。
「シェイリーン…おやすみ」
回した腕で私をを抱き直して再び夢の中に入るラルフ。
「え?」
先程よりも強い腕に抱かれ、距離が近づいたことに焦る。
ぎゅうぎゅうとラルフの胸を押すが微動だにしない。
「ちょっ…ラルフ!貴方今日からモルト王国に行くんでしょう?起きなきゃ」
ラルフの今日の予定を思い出し、顔を青くする。
出発は朝だと言っていたから、起きてくれないと困るわ。
「ん…もう少し……」
しかし当の本人は、再び眠りに就こうとしている。