偽りの結婚



寝起きのラルフは初めて見るわ。

私より遅く寝る癖に、いつも朝が早いものね。

ラルフはまだ眠いのか、一旦覗いた瞳はまた閉じてしまう。





「シェイリーン…おやすみ」


回した腕で私をを抱き直して再び夢の中に入るラルフ。




「え?」


先程よりも強い腕に抱かれ、距離が近づいたことに焦る。

ぎゅうぎゅうとラルフの胸を押すが微動だにしない。





「ちょっ…ラルフ!貴方今日からモルト王国に行くんでしょう?起きなきゃ」


ラルフの今日の予定を思い出し、顔を青くする。

出発は朝だと言っていたから、起きてくれないと困るわ。




「ん…もう少し……」


しかし当の本人は、再び眠りに就こうとしている。



< 178 / 561 >

この作品をシェア

pagetop