偽りの結婚



「お久しぶりでございます」


一連の動作に無駄のないウィリオット。

お辞儀一つも洗練されている。

慌ててドレスの端に手を添え腰を折る。

ウィリオットに会うたびに伯爵令嬢としての自分を思い出すのは普段怠けているせいね。






「アリア様ならお部屋にいらっしゃいますのでご案内いたします」


私のぎこちないお辞儀をクスッと笑いながらそう言うウィリオット。

幼いころからの付き合いだからか、私がここに来るのはアリアに用事がある時だと心得ているようで、何も言わなくても案内してくれる。





「ありがとうございます」


ウィリオットに連れられ、これまた長い廊下を歩く。

部屋までの道を歩きながらウィリオットとの久しぶりの会話をする。




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