偽りの結婚





「本日も書庫の利用でお越しいただいたのですか?」

「いいえ…今日は違うの」


ウィリオットの問いかけに慌てて首を振る。

私がアリアの屋敷に来る時はほとんど本を求めてくるとき。

ノルマン家の書庫はスターン家と比べ、数も多く種類も豊富であるためよく借りに来ている。

そのため、ウィリオットは私が訪問するときはいつも書庫へ用があると思っているのだ。

しかし、今日はいつもとは違う理由がある。





「今日は来週の舞踏会のことについて相談したくて…」


とたんに恥ずかしくなる。

いくら舞踏会に行った経験がないとはいえ、仮にも爵位を持った家の娘がマナーさえ知らないなんて恥じるべきよね。




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