偽りの結婚
そんなことを悶々と考えていると、ラルフの書斎に着いた。
書斎の扉を前に、途端に胸がトクントクンと高鳴る。
先ほどまで、嫌われた方がましだと考えていた頭とは裏腹に体は正直だった。
――コンッコン…
震える手で遠慮がちに扉を叩くと、中から声がかかる。
「入っていいよ」
3日ぶりに聞くラルフの低いテノールの声に胸の鼓動は高まるばかり。
「失礼します」
ドキドキとしながらも書斎に入ると、書類に落としていた目をこちらに向ける。
「シェイリーン…」
こちらを見上げたラルフの顔はどこか疲れたような色をしていたが、私を視界にとらえると嬉々とした色が瞳にさす。
ラルフはバッと椅子から立ち上がりこちらへ近づいてくる。