偽りの結婚
なんで何も言ってくれないの?
触れる程に距離が縮まり、何も反応を示さないラルフに不安になった私がラルフを見上げた瞬間。
ギュッ……―――――
力強く、けれど優しい腕に抱きしめられていた。
「ラルフ!?」
「やっぱり君の傍は落ち着く」
肩口に顔を埋めながら抱きしめられる。
腕は腰と背中にまわして逃げられないようにして。
「い、いきなり何するんですか!」
ラルフの吐息を耳元で感じ、一気に体が硬直してしまう。
その手はラルフの背中にまわされることはなく、所在なさげに空を彷徨っていた。
「ちょっ…ラルフ!?」
いくら経っても放してくれないラルフに呼び掛けてみるが…