偽りの結婚
「あぁ、すまない」
悪びれた様子もなく、嬉しそうに謝るラルフ。
やっと腰にまわされた腕を緩め、体を離してくれた。
しかし、依然としてラルフの腕の中に閉じ込められたままだ。
「ただいま、シェイリーン」
艶やかな笑みを浮かべ、こちらを見下ろしてくる。
その笑顔は心からの笑顔だったが、どこか疲れた色をしていた。
紺碧の瞳もどこかくすんだような色をしている。
「おかえりなさい、ラルフ」
この言葉に、疲労を溜めた瞳も少しばかり輝きを取り戻す。
「早かったのね。確か、帰国は3日目の夜じゃなかったかしら?なぜ貴方だけ先に帰ってきたの?」
もしかして、どこか体調が悪くて早く帰国したのかもしれない。
先程とは違い、変に鼓動が高まる胸を押さえ返答を待つ。
すると、ラルフからはことのほか明るい声が返ってきた。