偽りの結婚
「そうか…けれど、悩みがある時や辛いことがあった時は言ってくれ。力になるから」
ラルフは怪訝そうな返事をするが、深追いはしてこない。
「ええ、ありがとう」
そんなラルフに、心から感謝の言葉を述べる。
この一言でどれだけ救われるか…
継母や義姉にいくら冷たくされようとも、令嬢たちの嫉妬の言葉や罵倒をいくら受けようとも、ラルフの優しさや温かさ一つで心が軽くなる。
ラルフにはそんな不思議な力があった。
「サロンで良い気晴らしをしてくるといい。時間は昼からだろう?馬車を用意させるからそれで行きなさい」
ほら、また…胸にぽっと灯りがともったみたいに温かい。
ラルフの優しさに、心の中が満たされるようだった。
それにしても、サロンがいつどこで何時から始まるのか把握しているとは驚きだ。
ラルフがそれらの情報を知り得た元は一つしかない。