偽りの結婚



「モニカはそんなことまで手紙に書いていたんですか?」

「あぁ、事細かに書いていたぞ。だから早く帰ってきたんだ。サロンに行く前にそれを渡したくてね」


ラルフはそう言って、私の腕に抱えられた本を指す。




「そんな…わざわざ。夜でも良かったのに」


自分の腕に抱えられた本に目を落とし、戸惑いの表情を浮かべた。

私に本を渡すだけの為に、早く帰ってきてくれたの?

心の底から嬉しさがこみ上げるが、それを正直に表に出すことは叶わない。

だから、可愛くない言葉が出てしまう。




「僕が早く渡したかったからそうしたんだ。君が気にしなくてもいい」


大人な貴方は本当に優しいのね。

素直になれない私の言葉も全部包んでくれる。


< 199 / 561 >

この作品をシェア

pagetop