偽りの結婚
「モニカはそんなことまで手紙に書いていたんですか?」
「あぁ、事細かに書いていたぞ。だから早く帰ってきたんだ。サロンに行く前にそれを渡したくてね」
ラルフはそう言って、私の腕に抱えられた本を指す。
「そんな…わざわざ。夜でも良かったのに」
自分の腕に抱えられた本に目を落とし、戸惑いの表情を浮かべた。
私に本を渡すだけの為に、早く帰ってきてくれたの?
心の底から嬉しさがこみ上げるが、それを正直に表に出すことは叶わない。
だから、可愛くない言葉が出てしまう。
「僕が早く渡したかったからそうしたんだ。君が気にしなくてもいい」
大人な貴方は本当に優しいのね。
素直になれない私の言葉も全部包んでくれる。