偽りの結婚
「いや、ただ辛かったらいつでも言ってくれ」
「はい……」
貴方の事を思うだけで辛いの…なんて絶対に言えない。
好きという気持ちを自覚するだけで、こんなにも辛くなるなんて。
「そうだ、今日は君に話したいことがあってね」
っ!!きた……
ソフィア様とのこと?
それとも離婚の話?
すぅ…と息を吸い込み、覚悟したように口を開く。
「……何でしょうか」
これからの自分の立場を左右するであろう、ラルの言葉を待つ。
その体は緊張の為か強張り、僅かに震えていた。
「明日、ノルマン家に行くことになった」