偽りの結婚
――――次の日
馬車に揺られて着いた先は、慣れ親しんだノルマン邸。
「離れるなよ」
そう言って、ラルフは私の右腕を自身の左腕に絡ませエスコートする。
その姿はどこか回りを警戒しているようだった。
「はい……」
ノルマン邸で迷うはずがないのに…
ラルフの言葉の意味は分からなかったが、勢いで返事をしてしまった。
……が、冷静に返事をしたはいいものの、さっきから心臓が煩い。
その原因の元である隣の男を見上げると、いつもより少し険しい顔つき。
けれど、それも様になっていた。
正装をしているからかしら?
今日のラルフは紅を基調とした服を纏っており、それがブロンドの髪に良く映えていた。