偽りの結婚
……?
どこかで会ったことがあったかしら…
男性の顔を見て思い出そうとするが、やはり記憶にない。
私の気のせい?
令嬢たちの冷たい視線のせいで過剰になりすぎているのかしら。
視線の先の男性に気をとられていると――――
「気に入らない…」
ラルフの吐き捨てるような呟きが聞こえ…
グイッ――――
言葉を発するより前に、横から力強い腕に引かれた。
ラルフがいきなり歩みを止め、組んでいない方の腕を引いたため、ラルフと向き合う形になる。
「ラッラルフ!?どうしたの?」
腰に回された腕に抱き寄せられ、密着した体が熱くなる。
こ、こんな場所で…
余計視線を集めちゃう……
ラルフはキョロキョロと周りを気にしている私の頬に大きな手を差し入れ、自分の方へ固定する。