偽りの結婚
「シェイリーン、そんなによそ見をしていると転んでしまうよ?ただでさえ君は場慣れしていないんだから」
ラルフの蕩けるような微笑みに、その場にいた令嬢たちから感嘆の溜め息がもれるのが聞こえる。
しかし、ラルフの視線はある一点に向いていた。
その視線に気づかない私は、余程この状況に焦っていたのだろう。
「なっ……分かっているわ!」
失礼な!と言いたかったが、ラルフの言ったことはあながち外れていなかった。
こう言った大規模なパーティーで、しかも上流階級のパーティーとなれば、マナーも厳しいし服装だってちゃんとしていなければならない。
そのため、ラルフも正装をしているが、私のドレスもいつもより豪華だった。
白を基調とした生地をふんだんに使って作られたドレスは、シルクのような肌触りで、シンプルな造り。
胸が大きく開いているのが気になったが、これが最近の流行らしい。
そんな床まで届くようなドレスを引きずって歩くのは至難の業だった。
さっきから躓いてこけそうになっているところを、ラルフの腕にしがみつきながら難を逃れていることはバレバレだったようだ。