偽りの結婚
「あれ…?いつもは誰かいるはずなのに」
シーンと静まり返った部屋の中、呟く。
全員離宮に行っているわけないし、いくら国王と王妃、王子が離宮に行くと言っても、全ての使用人を連れて行くわけがない。
きっと、王宮のどこかにいるはずだわ。
けれど、ラルフの体調が悪化する前に適切な処置をしなければ明日までに熱が引かないかもしれない。
「私が看病するしかない…」
意を決して言葉にして、頭の中で風邪を引いたときの処置を巡らせる。
まず、薬から?
ううん、薬を飲むならその前に食事を取らなければいけないわ。
頭の中で考える事数秒、次の瞬間にはもう厨房に足を進めていた。
厨房付近へ行くと、何やらガヤガヤと騒がしい。
やっぱり、王宮にも人が残っていたのね。
少し安心して、厨房を覗いたが―――