偽りの結婚



「少しね。けれど、これくらいならすぐ治るさ。君と違って鍛えているからね」


笑顔を向けてそう言うも、苦しそうに眉根を寄せている。

きっと、私に心配を掛けないように振る舞っているんだわ。




そして、私は意を決してラルフの手をやんわりはずし、ベッドから降りる。




「ダメよ、ちゃんと診てもらわなきゃ。私、貴方が熱を出したことを知らせてきます」


そう言って、私は寝室を飛び出した。



「あっ…おい、シェイリーン!」


私を呼びとめるラルフの声は虚しく寝室に響いたのだった。








パーティーに出られないならせめて明日までに熱を下げなくては…

明日はソフィア様が帰る日だから。

長い廊下を歩きながら難しい顔をして歩く。




「あの…誰かいるかしら?」


小さい声で遠慮がちに声にして覘いたのは、使用人部屋。

ここには、主に王宮における王族の身の回りの世話をする者たちが控えている…はずが、部屋はもぬけの殻だった。



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