偽りの結婚




思えばそうだった…



「私の中の貴方は、出会ったころから完璧ではなかったわよ?」


思い出しながら、ふふっと堪え切れなかった笑みがこぼれる。

対するラルフは目を見開き、無言になる。



「アリアから貴方はとっても素敵な人で、結婚したいと思わされる男性だと言っていたのに、実際は女遊びの激しいプレイボーイだったし」


そう、思えばラルフは出会ったときから衝撃的な人だった。

王子だというのに舞踏会を抜け出して。

散々人をからかって楽しんで。

終いには「君に決めた」なんて言われて、偽りの結婚を申し込まれて。



それが、女遊びのカモフラージュのため…なんて知った時には呆れてものも言えなかったわよ。




思い出しながらクスクスと笑っていると―――


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