偽りの結婚
「ふふっ、良いも何も、完璧な人間なんているわけがないじゃない」
王族という身分は、私が想像するよりもはるかに大変だということが、ラルフの妃になって分かった。
どこへ行くにしろ自然と視線を集めてしまうし、国民に注目される。
そんな視線に王子の妃に少しでも近づけるよう意識する自分がいたり、偽りではあったがラルフの妃として認めてもらえるように見せようとしたことがあった。
ラルフは私よりも理想の自分を作るのが上手かっただけ。
完璧なんかじゃないのよ。
確かに、ラルフを完璧だと思う時もあった。
けれどそれは違っていた。
ラルフだって人間なのだ。
悩んだり、弱音を吐くこともある。
それは、ラルフと過ごしたこの数ヶ月間で見せてくれた様々なラルフの表情が物語っていたから。
ニコニコと紳士的な笑みを浮かべるだけのラルフだけでなく、心の底から笑ったり、怒ったり、焦ったり、悲しんだり…
新しい表情を見せてくれる度に、あぁ…私達と変わらないんだと感じた。