偽りの結婚
「それでも良いわね、二人ですごせる時間があるんだもの」
ソフィアは羨ましそうに呟く。
その言葉に、あの時のような儚げな笑顔が一瞬ちらついた。
もしかしてまた誤解を…?
離宮でラルフは想いを告げなかったのかしら…
王宮へ戻ってきたと言っても、十分に時間はあったはず。
「私達もいつまでもこの関係が続くとは限りませんわ」
ソフィアに悲しい顔をしてほしくなくて、普段ならば身を切る程の痛みを伴う言葉も、スラスラと出てくる。
余程焦っていたのだろう……
しかし、次の瞬間にはその言葉を発したことを後悔することになった。
「それは貴方とラルフが偽りの関係だから?」
「っ……!」
いま…なんて…っ……
ソフィアの衝撃的な告白に、呼吸を忘れる程に息を飲み、言葉を失う。