偽りの結婚
「何を根拠に…」
リエナはこう見えて頭の切れる人。
無暗やたらといい加減な発言はしない。
それを知っているからこそ、踏み止まる。
「さぁね、女の勘…かしら?」
ふざけているのか、本気なのか。
勘などと言う不確かなもので説得しようとするリエナに呆れつつ、嫌な感覚を拭いされない。
「母上、私は貴方の冗談にのっている暇はないので。失礼します」
その嫌な感覚を振り切るかのように、書庫への廊下を歩き出す。
「冗談だと思うなら、今すぐに寝室に戻ってみるといいわ」
数歩歩いたところで、殊の外真剣なリエナの声が廊下に響く。
振り返れば、同じく恐ろしい程に真面目な顔をしているリエナ。
「っ……!」
その表情に、一気に心臓がバクバクと嫌な心音を刻む。
リエナはどこか悲しい顔をしていた。