偽りの結婚
「シェイリーンさんなら、書庫にはいないわよ?」
思いもよらぬ言葉が返ってきた。
なぜ母上がそんなことを知っているのだろうか。
リエナの断言したような物言いにピクリと眉をしかめた。
「シェイリーンの居場所を知っているんですか?」
訝しげな表情で、けれど期待を込めた瞳をリエナに向ける。
しかし、返ってきた言葉はまたもやそれを裏切るもので…
「知らないわ」
自分の母親ながら、読めない人だとラルフは思う。
期待をしていただけに、リエナの言葉にあからさまにがっかりする。
相手にしてられないと思い、そうですか…と、短く返してその場を去ろうとした。
「けれど、この王宮に彼女がいないことは確かよ」
何が面白いのか、リエナは未だ笑顔を崩さずに淡々と話す。
その表情に何故か焦る自分がいて…