偽りの結婚
バンッ―――
皆が寝静まろうという時間にもかかわらず、勢いよく寝室の扉を開く。
そして、ザッと部屋を見渡す。
「シェイリーンッ!」
大きな声で叫んだ名は虚しく部屋に響き渡る。
ふと、視界の端に白い封筒が映った。
ベッドのサイドボードに置かれたその封筒は、朝はなかったもの。
どう見ても胸騒ぎのするそれが置かれたサイドボードに駆け寄り、封筒から乱暴に紙を取り出す。
『ラルフへ…』と書き始まる筆跡は確かにシェイリーンのもので…
続く言葉に目を見張る。
『貴方がこれを見る頃には、私は王宮にいないでしょう。勝手に出て行ってしまってごめんなさい。けれど、私にはもう、偽りの妃を演じる事が出来なくなりました。だから……離婚してください』
本当に…出て行ってしまったのか?
離婚したくて……?
“離婚”の二文字に激しく動揺している自分がいる。
呆然としながらも、続きを読む。
『どうか次の結婚は、貴方が本当に愛する人と結婚してください。私は、貴方の幸せを願っているわ。それから…結婚指輪は同封しておきます。今まで、ありがとうございました』