偽りの結婚
封筒を逆さにするとプラチナの指輪が落ちてくる。
その重みを手に感じた瞬間、色んな感情が込み上げる。
「なぜだ……なぜなんだシェイリーンッ!」
想いが溢れ、その手紙をグシャっと握りつぶした。
今朝まで幸せに包まれていた寝室で、一人項垂れる。
朝はあんなにも穏やかな時間が流れてたと言うのに…
顔も合わせずに去るつもりだったのか?
だから珍しく帰りの時間を聞いたのか?
だとしたら、なんて間抜けだったんだろうか…
一人舞い上がっていた自分に嘲笑する。
偽りの妃を演じる事が出来ない?
僕だって随分前から偽りの夫など演じる事ができなかった。
君を守ってやらねばいけない存在だと感じたあの時から…
風邪を引いた時も、自らすりおろした林檎を作るなど、常にない行動に出て。
モルト王国に招待された時などは、どれだけ後ろ髪を引かれる思いだったか…