偽りの結婚
ノルマン家の子息の誕生パーティーでもそうだ。
自分がどれだけ男を惹きつける魅力を持っているかなど気付きもしないで。
男たちが向ける視線に隠しようのない苛立ちを覚えた。
けれど、一番苛立ちを覚えたのは、シェイリーンがノルマン家の子息に見せる笑顔。
例えそれが昔馴染みの友人に送るものだったとしても、あの笑顔を自分以外の何者にも見せたくはなかった。
そして、嫉妬という初めての感情に狂わされ、二人から目を離した隙に男たちから絡まれ。
シェイリーンに男の手が触れた時には、すでに体が動いていた。
公爵家の誕生パーティーということで、懇意にする家々もいるわけで。
そのような場では、ニコニコとした紳士的な笑みを浮かべ、王子の仮面を崩すことは許されないのだが…
男の腕を掴んだ時の自分から出た声は、驚くほど低く冷たく響いた。
自分の腕の中で安堵したように力を抜くシェイリーンを感じて、どれだけ嬉しかったか。
好かれているとは思わなかったが、少なくとも嫌われてはいない…そう感じた。