偽りの結婚
「離婚なんて認めない」
低く唸るような声で呟いた自分の顔は厳しく、瞳は闇に溶け込みそうなくらい濃く染まっていただろう。
「やっぱり、シェイリーンさんは出て行ったのね」
いつの間にか追いついていたリエナが、寝室に入るなり呟く。
「母上……」
シェイリーンが出て行くことを確信していたような物言いに、苛々とする。
母親にしかもこの国の王の妃に向けるような視線とは程遠く、鋭い視線がリエナを見つめていた。
しかし、リエナは気にした様子もなく続ける。
「昼間のシェイリーンさんは、何か思いつめたような顔をしていたわ」
頬に手をあて、心配そうな表情をして昼間の事を話すリエナ。
「ならば、なぜ引き止めてくれなかったのですか!」
リエナの表情から、シェイリーンがいなくなったことを嘆いている様子。
表情と行動が伴わないリエナの発言に、ラルフは遂に声を荒げてしまった。