偽りの結婚
それに、ここへ来た時の義姉の第一声が引っかかっていた。
『家には入れない』
これは間違いなくシェイリーンに向けられた言葉だっただろう。
そしておそらく、長い時間この扉の前で待っていた。
今や、紳士的な笑みも忘れ、ただ無表情でミランダとイリアを見下ろす。
顔が整っているだけに迫力のあるその雰囲気に、居た堪れなくなったミランダが慌てて口を開く。
「それよりも、ラルフ様。シェイリーンとは離婚したと聞きました」
ミランダは満面の笑みでそう言う。
普通、娘が離婚したと聞いて、笑っている親などいるか?
うんざりとした様子で、黙って聞いていると…
「あの娘ではさぞ退屈した事でしょう。教養もなっていないもので」
全く…本当に困った親だ。
こんな家庭でシェイリーンはよく真っ直ぐに育ったな。
「そこでなのですが、うちの娘なんてどうでしょうか?ソフィア姫にはかないませんが容姿もそこそこですし」
とことん常識はずれな親子に、呆れてものも言えない。
開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだろう。