偽りの結婚




どちらかと言えば、シェイリーンの方が縋りついていたと思っていたのだろう。

偽りの関係に終止符を打ったのは自分の方だと。


それは全くの誤解だった。

むしろ、縋りついて、諦めずに追いかけているのはこちらの方だ。





「それに、そもそも私は容姿でシェイリーンを選んだわけではない。私はシェイリーン・スターンという一人の女性を好きになったのですから」


シェイリーンの笑顔、優しさ、気丈な性格…全てが愛しい。

シェイリーンを想い、自然と笑みを浮かべれば、ミランダとイリアは顔を赤くする。




「まぁ、そうでなくても、シェイリーンはソフィアよりも可愛いですよ?…もちろん、貴方よりもね」


クスッと相手を小馬鹿にしたような笑みを浮かべて、悠然とそう言う。




「なっ!」


イリアは先程とは違う意味で顔を赤く染めた。

ミランダも目を見開き、唖然としている。

プライドの高いイリアをまた刺激してしまったようだとは思ったが、シェイリーンを蔑んだのだからそのくらいの辱めは受けてもらおう…と、いつになく黒い感情が湧いていた。




「では、私はこれで失礼します。貴方達に付き合っている暇はないのでね」


唖然とする二人を置いて、早々にスターン家の屋敷を去った。



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