偽りの結婚
「また、ここに来るとはな…」
スターン家よりも立派な屋敷の前でそう苦々しく呟く。
ベルナルドの誕生パーティーの時よりも、気持ちを引き締めて扉を叩く。
コン、コンッ―――
「お待たせいたしました」
ノックをしてすぐに出てきた執事は、初老の男性。
お辞儀した頭を上げると、その男性は目を見開く。
「ラ、ラルフ様!?」
いつもは冷静な執事も、一国の王子が一人で屋敷に赴いたのには驚いたらしい。
「御苦労。手短に言うが、シェイリーンは来ているか?」
用件だけを淡々と述べる。
「少々、こちらでお待ちくださいませ」
執事も用件が分かっていたようで、短く答え、屋敷の奥の方へ行った。
王子をエントランスで待たせるとは普通ならあり得ないが、自分は相当ノルマン家に嫌われているらしい。
シェイリーンの敵は、ノルマン家の敵…ということか。
ノルマン家の人間はシェイリーンの事が余程好きらしい。