偽りの結婚




「必要ない。シェイリーンを取り戻すのに駆け引きなど要らない」


真剣で、堅い声が応接室に響く。

シェイリーンにもう一度会うためには、形振りかまっていられない。




「そうですか」


その答えにアリアはスッと笑顔を消し、真面目な顔で答える。

しかし、続く言葉が出ないのは、まだ迷いあぐねているからで…



「シェイリーンはどこにいるんだ?」


なかなか、次の言葉がでないアリアに苛立ちを隠せずに口に出す。

こんなことをしている間にも、シェイリーンが自分から離れて行きそうで…

そんな気持ちを知ってか知らずか、アリアはゆっくりと口を開く。




「今はいませんわ。森に…ディランに会いに行っています」


アリアは窓の外に視線を移し、広大な庭のその先にある森を見つめる。




「ディラン…あぁ狼の友達か」


確か、シェイリーンの友達と言っていたな。

半ば信じがたい話だったが、当然のごとく少女の口から出た話に信じざるを得なかった。




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