偽りの結婚
「それを聞いて安心しましたわ」
そう言って、アリアは今日初めての笑顔を見せる。
その心の底からの微笑みに、自分を認めてくれたことを感じた。
「私は最初シェイリーンはお兄様とくっつけば良いと思っていました」
先程、自分を認めてくれたような発言をしたかと思えば、そんなことを言うアリアに眉を顰める。
「そんな怖い顔をしないでください」
ふふっと、面白そうに笑うアリアだったが、冗談ではない。
シェイリーンとベルナルドが寄り添っている姿を想像しただけでも嫉妬の感情が渦巻くのを抑えられない。
「意外と心が狭いんですのね?」
笑いを堪えたような表情で、楽しそうに話すアリア。
「あぁ、シェイリーンに関してはそうみたいだ。自分でも制御できない」
ムスッとしながらも、その通りなので、正直に答える。
「貴方ともあろうお方が、少女一人に手を焼いているなんて、ご令嬢方はさぞ驚くでしょうね」
「僕も驚いているよ。こんなにも心の底から欲しいと思ったのは初めてだ」
そして、こんなにも手を焼くのも初めてのこと。
この歳で初恋とは笑えたものだが、心の底から求める人はなかなか振り向いてもらえないものかもしれない。