偽りの結婚
「けれど…落ちぶれた伯爵家の娘であるシェイリーンでは皆が納得しますか?」
挑発するような琥珀色の瞳が、こちらを見据える。
まるで、貴方は皆を納得させられるの?と言わんばかりの目だった。
反対があることなどは、偽りの結婚をした時から分かっていた。
公式の場に出る度に非難の目を向けられ、陰で侮辱の言葉を囁かれ…
皆が納得していないことは目に見えて明らかだった。
「良いところのご令嬢のような財産も、土地も、身分も…なんの後ろ盾もないのですよ?」
探るような視線をよこすアリアに、ふっと笑みをこぼすラルフ。
「僕は妃の後ろ盾を必要とするほど無能ではないつもりだ」
言葉に迷いはない。
「君の言う通り僕の傍にいれば非難の目がシェイリーンに向き、彼女は傷つくだろう。だが、それは誰が妃になろうと同じこと」
「だからシェイリーンが傷ついてもいいと?」
鋭い琥珀色の瞳を向けられるのを感じながら首を横に振る。
「王家の人間になるということは皆の羨望と嫉妬が向けられる。もし、シェイリーンが帰ってきてくれるなら、再びそれらと向き合わなければなくなるだろう」
そう思うからこそ、シェイリーンが再び戻ってきてくれるか不安だった。
自ら自分を追い詰める地位に戻ってくる者がいようか…
「だが、理不尽にシェイリーンを傷つける者は、例えどんな者であってもその全てからシェイリーンを守る」
「私の負け…ですね」
はぁ、と溜息をつき、緊張を解くアリア。