偽りの結婚
「もともと私達の関係は偽りですよ?そんな、王子に対して大それた想いなど抱いていません」
眉を下げながら笑い、無理やり笑顔を張り付けた。
「私は落ちぶれた伯爵家の娘ですし、身分をわきまえています。それに王子には本当に愛する方がいらっしゃいます。私はそれを知ったから離婚を申し出たんです」
きっと、上手く笑えていない…
「だから、気持ちの整理も何も、元から交わるはずのなかった二人が別れて、元通りに戻った。それだけのことです」
よくもこんなにぽんぽんと自分を傷つける言葉が出てくるものだと思う。
「では、ラルフ王子のことは好きではないと?」
ベルナルドは顔色一つ変えず、結論を求めてくる。
つまり、どうなのか…と。
「……はい」
一層苦しくなる胸の痛みを無視して、沈む声で答えた。
そんな私の答えを聞き、ベルナルドはそうか…とだけ呟いて窓に預けていた背を起こす。
「じゃぁ、僕はもう遠慮する理由がなくなったわけだ」
ふっと、微笑むベルナルド。