偽りの結婚
その頃、シェイリーンはというと――――
不審者のようにオドオドとしていた。
どうしよう・・・来てしまった・・・
仮面を付けており、顔は見えないにもかかわらず、顔を隠す様に俯き、両手を前でギュッと握りしめている。
それに、さっきラルフと目が合った・・・ような気がした。
慌てて逸らしたものの、心臓がバクバクと鳴り、なかなか治まってくれない。
「どうしたの?シェイリーン。」
この仮面舞踏会では、偽名を使うことにされていたからか、その声は小さかった。
顔色の悪いシェイリーンを、アリアが心配そうに見つめる。
アリアは、ルークがいるため普段のドレスを着ていた。
「アリア・・・私、もう帰りたいわ・・・。」
シェイリーンは、頭が真っ白で、本名を使ってはいけないという条件すら忘れていたが、幸いにも、消え入りそうな声だったため、周囲には聞こえていない。
「それはダメよ。貴方が自分からこの仮面舞踏会に来ると言ったのよ?」
「っ・・・!」
そう、今日、この場に来ることは自分で決めた事。