偽りの結婚
違うんだ……
君にそんな顔をさせたいんじゃない。
「その先は僕の台詞だ」
エメラルドグリーンの瞳はまた涙を湛え始めた。
今までシェイリーンに何度このような思いをさせたのだろうか。
自分の知らないところで泣いていたかもしれない。
こうして静かに涙を流し苦しんでいたかもしれない…
自分の事は嫌われてもいないが好かれてもいないと思っていた。
けれどシェイリーンからの告白。
無意識に出たかのようにポツリと呟いたが、しっかり届いた。
その衝撃に一瞬動きが止まったものの、次の瞬間には愛しさが込み上げてきて。
目の前の強がりで、気丈で、頑固で…
けれど、弱くて、脆くて、愛しい存在の君を守らねばならないと確信した。
「シェイリーン」
静かに名前を呼ぶ。
するとシェイリーンは腕の中でビクッと体を震わせ、恐々と潤んだ瞳で自分を見上げる。
そんな仕草にも愛しさを感じつつ、ラルフは口を開く。
「シェイリーン…僕は君を愛している」