プレーン
隣りの影は、どちらの影か、ホラー映画を思い出し、背中が少し粟立った。

「……じゃ、行きますから。」

目の端で、小麦色した髪が揺れる。
それがうん、かいいえか、僕は答えを欲しくない。

知りたいのは別の事だ。この状況で、やけに冷静な僕が、取り乱した答えを知りたいと思っている。

ゴム製の靴底が、釘の床でも踏んでる気分だ。
もろい木目の階段を降りるのに、やけにおっくうになる。

靴の布地が水を吸った。水溜まりには僕が起こした波紋だけ。

空は曇ってそれでも静かに、雨をさらって逃げて行く。
僕はそれには背を向けて、地面を踏んで歩き出す。

行き先さえ決めていれば、おおかた迷う事はない。

僕はこころに会って、探していたと言ってしまいたい。
探していたのに間違って、本当の君が分からない。
どうか君から教えて欲しい。

答えを僕に、教えて欲しい。

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