涙が愛しさに変わるまで


あたしはそんな桐沢社長にまた顔が熱くなった。



「真依?俺以外の男に近づかないで…」



そう甘く囁き、あたしから離れた桐沢社長はどこか悲しげな顔をしていた。



「桐沢しゃ……」



あたしが言いかけると唇に人差し指をあてられた。



「まー子はなんにも考えなくていいから」



優しく微笑んだ桐沢社長。


こんな優しいの桐沢社長じゃないみたい……。



なにも考えなくていいって……あたしはあの時なにを言おうとしてたんだろう。


「まー子!おまえはいつまでそこで寝てんだ!?」



……戻っちゃった。



「いまいきます…。」



あたしは桐沢社長の後ろをまたついて歩いた。



あたしが考えてたこと……


桐沢社長にはわかったの?


あたしですらなにが言いたかったかわかんないのに……?



< 20 / 244 >

この作品をシェア

pagetop