― Summer Drop ―
「千夏……どしたん?」

朋子の声に答えず、ぼんやりした様子で歩く千夏を、辰雄が訝しがる。

「試合の途中からずっとこんなんなんよ」



二人が心配そうに見つめる中、

千夏は授業中に発表するときのように、「はいっ」という声と共に
真っ直ぐ右手を挙げた。


「………あたし、恋をしましたっ」
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