宝石よりも

『今、なんて―――』



俺は目を泳がせて、直樹を見た。



『七海は、もう歩けない』



動揺する俺に、直樹はしっかりと―――
はっきりと、そう告げた。



七海はあの事故での損傷で、足が動かせなくなった、らしい。



あの元気に駆け回ることが好きだった七海の足が奪われてしまった。



途端にあの日の記憶が俺の中を駆け巡る。



《ナナちゃんを、ちゃんと見てるのよ》



母親の言葉に、元気よく頷いたのは誰だった?


七海のそばにいたのに、助けられなかったのは誰だった?





七海の足を奪ってしまったのは―――――






俺だ。



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