天然彼女の愛し方(完全版)
「こけませんー!…廉君同い年なのに保護者みたいなこと言わないでください!」
『保護者って…半分合ってるようなもんじゃね?』
そう言って笑う廉君が
…私はなんだか腹立たしかった
むぅっ
「ちゃんと中身は女子高生だもん!」
つーんとそっぽを向いて
春華は勝手に足を速める
『…分かってるから拗ねるな』
でも、コンパスが違う廉は
そんな春華にすぐに追いついてしまう
春華の頭の後ろを軽くぽんと叩く
それに驚いて、春華は足を止めた
『…?』
急に立ち止まった春華を不審に思って
先を歩いていた廉は後ろを振り返った
「…廉君は、ずるい」
私の事なんでも分かっていて
そんな簡単な自分が嫌になる
…私はいつだって
廉君にドキドキさせられているのに
廉君は…いっつも余裕そうで
ずるい
私ばっかり
いつも真っ赤になるから
ずるい
涙目で見上げる春華を
なんともいえない表情で見つめる廉
たぶん、春華のややこしい乙女心が分からないのであろう