天然彼女の愛し方(完全版)
「廉君が…とられちゃう!」
『そんな簡単にはとられないだろうけど…
ちょっと春華にはイタい光景が広がるだろうから帰るか』
そう言って春華の肩を掴んでグィッと方向転換させた優香だが
「嫌だ!」
…珍しく強情な春華に気圧されて
その手を離してしまった
それと同時に
『『キャァァー!!!』』
『廉様、これどうぞ!』
『タオル使ってください!』
『さしいれです!食べてください!』
『斉藤先輩!』
むわーっと
おそらくここにいる女の子の3分の2が
今出てきた人物に向かって群が…いや、突進していった
その様子を
半ば唖然として見る春華
そ、そうだった…
最近幸せすぎて忘れていたけれど
廉君は、たくさんの女の子に好かれる人でした…
視覚的にも
心情的にも
春華は廉との間に
厚い壁があるように感じてしまった
…女子の壁が厚くて見えないのか
廉の方はまだ、春華の存在には気付いていなかった