天然彼女の愛し方(完全版)
だから
…たくさんの人がひしめき合うその中で
『分かってるわね、自分の仕事』
『当たり前じゃないか、桐生春華。だろ?』
そんな会話がされていたことなど
誰も知るはず無かった…
「優香ちゃん。帰ろっか…」
『えっ!…いいの?』
春華はその問いかけに
小さくコクッとうなずいた
廉と春華のキョリは
目に見えて遠くなっていく
こんな時に
廉君の彼女だ!って
胸はれない自分が嫌だ
うじうじして
全然つりあってない自分が嫌だ
こうやって
目を背けることしか出来ない自分が嫌だ
嫌なのに…
そんな自分を変えることが出来ない
“自信が無い”
いつだって私は臆病者だ
こんな彼女
廉君だったら嫌だよね?
変えたい
変わりたい
変われない
…変えても意味が無い
どう変わっても
廉君の世界に立つことができない