天然彼女の愛し方(完全版)
溢れ出しそうな涙をこらえて
後ろを向いて歩き出した春華は
『春っ!…』
…その時春華の存在に気付いた廉に
気付かなかった
『廉様!!私のも受け取ってください!』
『これも!お願いします!』
『あ、ああ…』
周りの女子に気を取られていた廉は
『…桐生春華さんですよね』
「はい、そうですが…」
その隙に
隅のほうで男子数人に囲まれた春華を見失った
(くそっ、どこ行った!?)
廉は急に自分の前から姿を消した春華がどこに行ったのか追いたいが
女子の波が邪魔で動くことすらままならない
『これ後で食べてくださいますか?』
『あの女どうなったの?』
『今度の試合はいつですか?』
『さあ、知らない
今頃ヤられてるんじゃない?』
『颯太くーん!』
…様々な声が聞こえてくる
廉はその中の一つに神経を集中させた
どうやらあちらは廉が聞いていることなど知らないようで
大声で笑いながら会話している
『いえてるー!
あんな女さっさと廉様の前から消えてしまえばいいのにね』
『榊に止められてたけどさ、あのお嬢様も何も手出ししなさそうだからさ
使えねーって感じ?』
『ホントホント、桐生春華マジ死ねみたいな?』
その言葉で
確信した