【完】アニキ、ときどきキス
山田先生の車が警察署に到着した。
私は助手席から慌てて飛び出し、警察署の中に入った。


「あの、若宮小学校の北原といいますが」


「あ、こちらです。
どうぞ」


受付の人に個室に通される。
そこには下を俯き座っている遥の姿があった。


「遥・・・・・・」


遥の名前を呼んだけれど、どう声をかけていいか分からない。

遥も私の声を聞いても俯いたままだった。


「北原先生ですか?」


遥の斜め向かいに座っていた、背広に身を包んだ中年の男性が立ち上がる。


「あの・・・・・・」


「先ほど電話した尾崎です。
ちょっと、いいですか?」


「はい」


私は尾崎さんに連れられて部屋の外に出た。

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